フランス制度 在宅入院(Hospitalization a Domicile:HAD)

Europe視察紹介①

在宅入院(HAD)制度の紹介をさせて頂きます。

フランスでは入院を完全入院(病院に泊まる)と入院(病院に泊まらない)という考え方があります。在宅入院というのはまさに在宅における入院のこと指します。退院直後の医療ニーズのある対象者へ入院と同レベルの医療を提供するというものです。

在院日数の軽減、居宅生活への円滑な移行が目的です。

急性期在院日:10日以内 回復期:3~4週間 HAD:26日(各平均日数)となっています。

このように超急性期より早期に在宅で医療を提供するには地域医療資源の充実化、入院と同時に始まる退院支援が必要です。

入院と同時に始まる退院支援を行うため、HAD機関にはコーディネーター(医師・看護士・療法士)が存在します。

産後管理、がんが主な対象となります。

定義は以下のようになっています。

「病院勤務医および開業医により処方される患者の居宅における入院である。予め限定された期間に(ただし、患者の状態に合 わせて更新可能)、医師およびコ・メディカル職のコーディネートにより、継続性を要する治療を居 宅で提供するサービス」

入院と同時に取り組んでいる退院支援は非常に興味深いですが、実際の場面を見ることはできませんでした。

開業している機関が多く、連携はフランスにおいても課題であるようです。特に制度上、医療・介護の連携が手薄ではあるようでした。在宅領域の看護師が連携のKeyという印象です。

生活様式(靴の着脱、入浴、床生活などない)が大きく異なるため、高齢者の多い日本では難しく感じますすが、桜井地区地域包括ケアシステム構築への参考になれば幸いです。またなにかしらの取り組みを共有させて頂きます。

「フランス制度 在宅入院(Hospitalization a Domicile:HAD)」への4件のフィードバック

  1. 中川先生

    大福診療所の朝倉です.お返事遅くなりすみません.
    完全入院と在宅入院の概念、非常に興味深く思います.在宅におけるインテンシブケアという感じですね.完全入院の急性期在院日数を減らすと同時に、自宅への退院をスムーズに(在宅退院の間から、生活を視野にいれた移行が現実的に検討されるという点において)するものと思われます.文化事情や生活様式は異なりますが、日本でも充分参考になるのではと感じております.
    現在の日本の状況では、集中的なケアが必要の場合、訪問看護ステーションからの訪問が、退院直後は連日、もしくは1日複数回、経過とともに徐々に減っていくという形はありますが、あくまで自発的に行われており、システマティックなサポートがありません.悪化時はいつでも入院していた病院と連携が取れる、場合によっては再入院という形を取ることができれば、より安心した地域包括システムに結びつくのではと感じております.

    またの報告を楽しみにしております!

    1. 朝倉先生

      ありがとうございます。
      フランスにはHAD機関にコーディネーターがいるのが興味深いところかと感じます。
      コーディネーターがいることで、緊急時の入院もスムーズにできるのかと思います。ただ、こちらの医療機関はかなり待ちが多いのも現状です。どこまでできているのかは今回は知ることができませんでした。

      とにかくこちらでの在宅を見据えている取り組みは本当に素晴らしいと感じました。
      日本では医療機関に勤める医療者が多い現状があることもあり、そこまで具体的に、かつ迅速に意識していくのは難しいように思います。患者理解の問題も大きそうです。
      教育機関では在宅領域への占める割合も少ない現状も気になるところです。
      在宅分野を意識できるような医療機関へのフィードバック体制などができると理想ですが、業務内容からも難しさを感じます。
      医療介護の連携によりなにか形にできればと思うばかりです。
      もうすこし、こちらでの取り組みを参考に良い取り組みを考えてみます!

  2. コメントありがとうございます。
    そうですね。地域資源の蓄積と同時進行で進めていく必要がありそうですね。最終的に我々を評価する患者の理解なしには難しくしてしまうだけだと感じます。
    早期から退院支援をしているということが良い取り組みであるという認識を持っていただけるように、またそれがなぜ必要なのかも含めて啓発していく必要がありそうですね。

    また花戸先生のご講演にいらっしゃるようでしたら、少しお話しできればと思います。

  3. 2015年1月11日桜井保健所主催の地域在宅医療・包括ケア連携会議(多職種関係職員研修会)や1月14日の桜井市医師会と中和病院との病診連携会議で、退院カンファレンスの実施と、病院に入院と同時に退院支援の話を患者様にすすめていくことが話題に上がっておりました。当地区では、全職種の参加する退院カンファレンスと、入院と同時の退院支援はできておりません。要支援者の介護給付が年々減額・非対象になっていくことと、まったく元気の住民が脳心血管疾患などで要支援者となって退院されることもあることを考えると、社会資源の整備による地域づくりが急がれるように思います。
    1月11日の角田先生の講演の中で、今日入院したばかりの患者様に、もう追い出すような退院後の話をすることをあたりまえのこととして、住民が受け止めてくれるように、住民教育をしていかなければならないという課題も指摘されておりました。

    備考)現在、奈良県内インフルエンザ警報発令中です。今年のワクチンはA香港型に対して例年より効果が甘いような気がします。

     

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