済生会中和病院今川院長先生の講演;「地域中核病院における在宅支援の取り組み(地域包括支援病棟)」ー理想の看取りと死に関する研究(国際比較)ー

2015年1月11日桜井保健所主催の地域在宅医療・包括ケア連携会議(多職種関係職員研修会)が開催され、済生会中和病院今川院長先生が、「地域中核病院における在宅支援の取り組み(地域包括支援病棟)」についてご講演され、理想の看取りと死にかんする国際比較についてご説明され、日本は理想と現実のギャップが世界で最も大きい国であることを指摘されました。

参考となる国際比較のデーター(講演では平成23年度国際長寿センターの資料を提示)が記載されておりましたので、下記に紹介しておきます。
理想の看取りと死に関する国際比較研究(管理者報告)

上記報告書のなかで、各国の特徴は
• 各国とも、自宅で本人の意思に基づく
看取りが理想だがギャップはある
• 日本、韓国、チェコ(3国には看取りの法
律等がない)、イスラエルは終末期と認
める時期が遅く、人工栄養を使用する
傾向。
• イギリス、フランス、オーストラリアは早
くから終末期と認め、人工栄養も使用し
ない傾向

また、日本は、安楽死・終末期に関する法律の整備も諸外国に比べて遅れているようです。このため、癌患者以外については、終末期治療の展開のさせ方が主治医によって多様で、問題になるケースも今後あるのではと懸念しています。

 

 

 

 

「済生会中和病院今川院長先生の講演;「地域中核病院における在宅支援の取り組み(地域包括支援病棟)」ー理想の看取りと死に関する研究(国際比較)ー」への2件のフィードバック

  1. 大福診療所の朝倉です.

    ご提示の資料は大変分かりやすく、勉強になります.
    1977〜1978年で死亡場所が在宅、医療機関で逆転、ここ50〜60年の中で日本の現状も大きく変化し、死に関する文化、看取りの文化も変わって来たことがよく分かりました.
    また、癌疾患の終末期については、20年ほど前の「癌告知はすべきでない」といった時代からは社会的にも大きく変化し、ハードも整えられ、ノウハウやネットワークも広がり、社会的コンセンサスも変わりつつあるように思います.

    一方、非癌疾患の終末期ケアについては、今後、さらに広い視点で社会的に議論を深めていく必要があるように感じます.

    非癌疾患のケアのポイントはいくつかあるかと思いますが、
    ・基礎疾患の病態悪化、年齢など考慮しても、いつ終末期を迎えるのかの判断が非常に困難
    ・終末期ケアが、癌疾患に比較し多彩で困難になることもある
    などを考えております.

    いずれにしても、社会的な議論、文化の変化も踏まえた上でのあり方を考えていく必要があり、まさに今がそこに力を注ぐときなのかと…感じました.

  2. 木下先生
    ありがとうございます。大変興味深いです。
    日本人は死についてよく考えるのですね。
    宗教観の違い、教育内容の違いが大いに関係しているでしょうからその辺も踏まえて、こちらでみてきます。
    認知症ケアについてはしっかり学べるので、また情報共有させて頂きますね。

    またチェコに知り合いの医師を紹介いただきました。
    メール上ではありますが、法整備のない中での終末期をどのようにしているのか聞いてみます。

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